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2009年からはじまる小松原舞踊団創立40周年記念公演のプレイベントが能楽堂で行われました。公演前にお客様からも「能楽堂でフラメンコ?」「能とのコラボですか?」などとご質問をいただいておりました。
まず最初に“能楽堂でフラメンコ”というお話を聞いた時、私は以前CM撮影で別の能楽堂でフラメンコを踊らせて頂いた経験があり、
そのことをすぐに思い出しました。能舞台は、今日までの長い歴史の中で、主に男性を主流として発展してきた経緯があります。そのCM撮影では、女性が舞台に上がり、ましてやフラメンコシューズで踊るということに対して、日本全国にあるどの能楽堂でもなかなか了解を得ることができず、撮影場所の能楽堂探しは大変難航したようです。やっとのこと許可してくださる能楽堂を見つけることができ、寛大なご配慮を頂いたものの、現場はもともとの静謐な感じに加え、とても緊迫した雰囲気があり、スタッフの方をはじめ私自身もとても緊張した撮影となりました。
今回は、舞台上で松を背にして踊るにあたり、慣れ親しんだいつもの公演とは異なる能楽堂ならではの特徴がありました。私達は通常は、プロセニアム型と呼ばれる主に長方形で一方向に観客席がある劇場空間で公演をすることが多いですが、能舞台は2方面に客席があり、メインの客席方向の舞台幅よりサイドの方が広くなっていました。また、通常後方に位置することの多いミュージシャン達が、自分達の横に位置していたので、最初に踊ったときに、2面のうちサイドの客席面を正面と思う錯覚を起こしやすく、また舞台上にある柱の位置や思ったより長い花道の長さをどんなスピードで通過しうまく音楽に合わせて舞台に出てくるかなど、短いリハーサル時間内に体得せねばならないことが多く、普段の舞台経験からは想像もできない細やかな気配りが要求され、緊張するとともにとても新鮮な体験となりました。
自分が出演していない回の公演を客席から見つめながら、この舞台の形や機能が伝統の能を上演するにあたり、長い歴史の中で、全て必要不可欠なものであるという事実を思いジーンときました。「日本人でありながら、フラメンコを通して、日本の文化のほんの1ページを覗くことになるとは。。。」そして、幻想的な照明のおかげで、フラメンコが思いのほか能楽堂という舞台に溶け込んでいるように思い、感動はつのりました。
私自身は、アレグリアスを群舞とソロでご披露させていただきました。今回の公演では、なんといってもスペシャルゲストのラファエル・デ・カルメンさんの素晴らしい踊りを間近で、堪能でき本当に鳥肌がたちました。ラファエルさんの割と華奢な感じからは、到底想像もできないほどの圧倒的なフラメンコ。久々に本物の素晴らしいフラメンコの醍醐味とでも言いましょうか、そのようなものに巡り合えた気がいたしました。(平) |
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